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 このたび第31回日本ニューロモデュレーション学会 年次大会を開催させて頂くことになりました。例年同様、多くの皆様の御参加をお待ちしております。
 今回は、ニューロモデュレーションの新領域のひとつとして「運動機能の再建を目的としたニューロモデュレーション」をテーマに教育シンポジウムを組み、旭川医科大学 運動生理学 高草木薫教授、東北大学 リハビリ 出江紳一教授、福島県立医科大学 神経内科 宇川義一教授に御講演いただきます。これまでニューロモデュレーションの効果発現メカニズムの基盤は、電気や磁気による有害な神経興奮の直接抑制がその主たるものと考えられていましたが、少なくとも私が関わってきた不随意運動疾患に対するDBS治療の効果を見る限り、話はそれほど単純ではない様に思われます。ヒトの運動制御システムには、その長い進化の歴史を反映して、普段機能しているシステム以外にもより古い多くの運動制御システムが潜在しており、しかも、それらの間には従来考えられていた以上の機能のオーバーラップがある。また、複数のシステムがお互いに勝手に活動して干渉しあわないように、両者の間を巧妙に取り持つ中枢神経機能がある。また、この様なシステムの併存は、ひとたび一部のシステムが障害を受けたときには相互補完的に働く、つまり障害に対する冗長性、があるのを利点とすると考えた方が妥当な様に思われてきます。そしてニューロモデュレーションには、普段機能している運動システムが疾病によって障害された場合に、このような個体の潜在的能力を引き出して、代替システムを最大限に活用できるようにする治療手段としての可能が秘められているのではないかと思います。
 近年、「神経機能の再獲得のためのニューロモデュレーション」という言葉は方々で用いられますが、かねてより、作用メカニズムの視点で見てこの言葉がどの様な機序の事を意味するのだろうと疑問を抱いておりましたが、なるほどこういう意味なら神経機能の再獲得は、夢物語ではなく、実現可能な未来であると思えてきます。また、同様の考え方は、進化の上で同じくらい古いシステムである痛覚伝導系とそのニューロモデュレーションについても応用可能ではないかと考えています。ニューロモデュレーションの新領域として「神経機能の再獲得」を新しい取り組みのひとつに組み入れる糸口として、この企画が将来何らかの役割を果たすことになれば幸いです。皆様の御参加と活発な御発言を期待しております。
 もちろん、一般演題として従前通り、痛み・運動障害・てんかん・精神機能に対するニューロモデュレーションなど、これまで実績を積み重ねてきた多くのフィールドからの新しい知見の報告も大歓迎です。会員の皆様におかれましては、普段それぞれ別の領域の学会に所属しるため、ニューロモデュレーションという共通の治療手段そのものについて一同に介して議論出来る機会は限られています。今後もその唯一の場として本学会が発展することを願っております。重ねまして多くの皆様のご参加をお待ちしております。


平成28年11月5日
第31回日本ニューロモデュレーション学会
会長 谷口 真

 


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